Juli 2017
Philosophisches Überdenken des Begriffes der Synthese
日本語でジンテーゼという用語は、かつてヨーロッパ哲学を学んだ古い世代の間では、テーゼ(正)、アンチテーゼ(反)、ジンテーゼ(合)というトライアドで捉えられ、それが弁証法的思惟の基本とみなされることが多かった。特にそうした理解は、マルクス主義に共感するインテリに多く見られたと思う。そして多くの場合、その思惟様式はヘーゲルに由来し、マルクスとエンゲルスがそれを唯物論的観点で修正・完成したという通説が飛び交っていた。しかしそのような理解は、今日の若い世代では廃れてしまっている。したがって、本稿ではもっと別な観点、すなわち現在一般的に定義されている「多くの認識内容を一つの全体的な認識に統合すること」(ブリタニカ国際百科事典2008年日本語版電子辞書)という観点から、筆者が長らく親しんできたドイツ観念論で企図された哲学的な総合の意味と、現在コミットしている統合学におけるジンテーゼ(総合)の意味を再考してみたい。 ドイツ観念論における「全体的な認識への統合」としての総合の試み―その回顧的概観 一口にドイツ観念論と呼ばれる哲学的潮流を特徴づけるのは、「諸学問の分化を踏まえながらそれらを統合する」という意味での総合の営みであった。それらがどのようなものであったかを、概観してみよう。 Immanuel… Weiterlesen